薩摩焼400年祭研修旅行の報告
成人教育委員会 金 洪仙

 今年度の成人教育委員会活動としては、中学校の修学旅行で毎年格別にお世話になっている、沈壽官先生とのかねてからの約束を守るべく、薩摩焼400年祭記念式典に参加する1泊2日の研修旅行を実施しました。
 10月22日、午前6時30分に伊丹空港に集合した校長先生他26名は一路鹿児島に向けて飛び立ちました。鹿児島空港からバスで約1時間半、400年前の我が国の陶工たちが連れて来られた美山(苗代川)の里に到着しました。町を挙げての大イベントというのが着いたとたんに分かりました。記念式典会場周辺には韓国から来た国楽院のメンバーやテレビ・新聞の取材陣などの韓国語が飛び交いここは韓国か? と思うほどでした。私たちも用意して行ったチョゴリに着替え、全羅道南原市から運ばれて来た窯の火を、江口浜という漁港に迎えに行きました。そこには太極旗の小旗を持った大勢の町民がいて、火を歓迎してくれました。チョゴリ姿の私たちをみて韓国から来たかと、何度も話しかけられましたので、私たちは在日で大阪の建国という学校のPTAだと説明し、学校の名前を大いにアピールしました。釜山の海洋大学の学生120名が「ハンナラ号」という実習船に窯の火とともに乗り込んで来て、式典に参加していました。男女の学生達は清々しく、きりりと引き締まっており、我が国の学生を誇らしく思いました。
 窯の火は記念式典会場に運ばれ、私たちも参加したのですが、その前に沈壽官先生と記念写真を撮りました。式典は全羅道南原市長の流暢な日本語の挨拶や釜山の韓国伝統舞踊団一行の公演もあり、盛大に行われました。
 3時すぎから私たちは美山に移動し、壽官陶苑を表敬訪問し、歴代の沈壽官作品が展示されている収蔵庫を見学しました。当代の作品はもちろんのことですが、歴代の素晴らしい作品の数々は一見の価値があります。また、薩摩焼の製作課程もガラス窓の外から見させていただきました。その後、玉山神社に先回りして窯の火をかついでくる行列を待ちました。到着した火を奉納するのを見届けた後、またまた先回りして火入れ式が行われる、共同登り窯に行きました。この日の為に窯元たちが共同で作った真新しい窯で、初めて入れる火が韓国からの火という次第です。
 夕闇迫る共同窯周辺は、大勢のマスコミや見物客でごった返しており、そんな中で厳かに火入れ式が行われました。午後7時すぎまで、私たちはすべての記念行事を歩き回って見届け、足が棒になりましたが、400年に1度の歴史的な場面に立ち合い、建国の全権大使ともいえる重大な任務も果たせて、大変有意義な研修旅行となりました。これが実現できたのは取りも直さず、保護者の皆様のご協力があったからです。皆様に感謝申し上げます。


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