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韓国盧武鉉大統領が来日
2003年6月6-9日

2003年6月6日盧武鉉(ノムヒョン)大統領が就任後初めて日本を公式訪問した。

宮中晩餐会

 
盧・韓国大統領招き、宮中晩さん会
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晩さん会で天皇陛下と乾杯する盧武鉉韓国大統領=6日夜、皇居・豊明殿で、代表撮影
 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を招き、皇居・宮殿「豊明殿」で6日夜晩餐(ばんさん)会が開かれ、天皇陛下が歓迎の「おことば」を述べた。昭和を含めて過去4回の韓国大統領を迎えた晩餐会では、植民地支配など過去の歴史にどう触れるかが注目されていた。今回は直接的な言及はなく、「古くから両国の人々がたどってきた歴史を、常に真実を求めて理解しようと努め、その上に立って、両国国民間の絆(きずな)を揺るぎないものにしていかなければならない」と、過去を踏まえながらも未来志向の強いものとなった。

 一方、大統領の答礼スピーチも歴史の傷跡には触れず、W杯の情熱と感動を「共同の未来」を切り開くエネルギーに昇華させることで「韓日パートナーシップ時代を開いていくことができる」とし、「北東アジア全体の平和と繁栄に向けて、心を開いて協力していくべきだ」と応じた。

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 ●天皇陛下の「おことば」(要旨)

 貴国と我が国とは、昨年、ワールドカップ・サッカー大会を共同開催いたしましたが、この大会が、両国の選手の活躍によって両国国民に深い関心を持たれるとともに、両国国民間の友好関係の増進に資する意義深いものとなったことは非常に喜ばしいことでありました。ソウルにおける開会式には、小泉内閣総理大臣と共に、今は亡き高円宮が日本サッカー協会名誉総裁として同妃と共に出席し、貴国国民との友好関係の増進に務めてくれたことが思い起こされます。

 今年より両国の間で始められた「青少年交流」「スポーツ交流」を目標とする「日韓共同未来プロジェクト」が現在順調に進んでいることは、両国の明るい未来に繋(つな)がるものとして、喜ばしいことであります。

 日韓両国の友好関係がこのように発展した陰には、多くの人々の苦労と努力の積み重ねがありました。私どもはそのことに思いを致し、古くから両国の人々がたどってきた歴史を、常に真実を求めて理解しようと努め、その上に立って、両国国民間の絆(きずな)を揺るぎないものにしていかなければならないと思います。

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 ●盧武鉉・韓国大統領の答辞(要旨)

 皆様方の歓迎を受け、まるで近所の方々の温かい人情に触れたようで、嬉(うれ)しく存じます。昔から韓国と日本は、文化的にも、情緒的にも関係の深い隣国でありました。1500年にわたる、われわれの祖先の交流と親善の歴史が、その関係の深さを如実に物語っています。

 私は大韓民国初の「戦後世代」の大統領として、このように長い歴史を持つ両国の友好親善関係が今後も持続されるべきだと信じております。そう信じるからこそ、本日、このように日本を訪れました。

 私たちは力と知恵を集めて、アジア初のワールドカップ大会を立派に成し遂げました。両国の若者たち、「レッド・デビル」と「ウルトラス・ニッポン」が一緒に肩を並べて、互いを応援するという、かつてない光景が見られました。今も両国国民の胸の中には、昨年の情熱が生き生きと燃えています。その情熱、その感動を、韓日共同の未来を切り拓(ひら)くためのエネルギーに昇華させねばなりません。そうすることで世界の模範となる「韓日パートナーシップ時代」を開いていくことができます。

 私たちは今や、子孫が築いていく未来について、さらに深く考え、北東アジア全体の平和と繁栄に向けて、心を開いて協力していくべきだと考えております。

韓国大統領が天皇、皇后両陛下と会見、訪韓を招請
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 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領夫妻は6日、国賓として初来日し、皇居・宮殿で天皇、皇后両陛下と会見した。宮内庁によると、植民地時代など「過去」についての言及は双方からなく、天皇陛下がサッカー・ワールドカップ(W杯)共催などを通した交流が「両国の関係改善に効果をもたらした」と述べると、大統領も同感の意を示した。

 韓国で植民地時代などの犠牲者を弔う「顕忠日」の訪日となったが、戦後生まれで56歳の大統領は「批判の声もあったが乗り越えるべきで、神経を使わない自由な交流ができることが大切」と話した。すると陛下は「大統領がそうなさったことを多とします」という趣旨を述べたという。

 陛下が01年の誕生日に「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」と発言したことも話題に。大統領は「率直に述べられた。私は大変感銘を受け、韓国の多くの人々もそう思っている」と述べた。

 また大統領は「(98年に来日した)金大中前大統領の招請は生きています」と改めて両陛下の訪問を招請。天皇陛下は「ありがとうございます。この問題は政府で検討することです」と答えた。

 会見に先立ち、東京・元赤坂の迎賓館で歓迎行事があり、皇太子ご夫妻、昨年のW杯開会式に合わせて故高円宮さまと韓国を公式訪問した同妃久子さまも同席した。 (朝日新聞より)

 
北朝鮮核問題 日韓首脳、連携と対話解決強調
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 小泉首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)韓国大統領は7日午前、東京・元赤坂の迎賓館で会談した。両首脳は、北朝鮮の核開発問題について、両国の連携を確認。平和的・包括的な解決が北朝鮮の国際社会参加の条件という考えで一致し、多国間協議への両国の参加を求めた。会談後、両首脳は「未来志向の両国関係発展のために前進しなければならない」などとした共同声明を発表した。盧大統領は6日成立した有事法制関連3法について「周辺国に警戒感がある」との懸念を示しつつも、「韓日両国が信頼をもって解決することができる」と表明した。

 会談は午前9時から約2時間行われた。

 日本側の説明では、会談で両首脳は北朝鮮の核兵器開発に対し、日米韓が緊密に連携しながら平和的に解決することで一致。首相は「核の開発、保有、移転は一切認められない。検証可能かつ不可逆的に撤廃すべきだ」とした。大統領は「北朝鮮が国際社会の一員になれば、広範な支援を期待しうるだろう」と述べた。

 首相は会談後の共同記者会見で、北朝鮮が事態を悪化させた場合には「一層厳しく対応しなければならない」と表明。会談でも「対話を通じた解決のためには一定の圧力も必要だ」と述べ、北朝鮮の不法行為や不正送金、大量破壊兵器の輸出規制を強化する考えを示した。

 ただ、共同声明では韓国側の事情に配慮して、米韓首脳会談での「追加的措置」、日米首脳会談の「より強硬な措置」などの直接的な表現は避けた。大統領は記者会見で「『対話と圧力』のうち韓国としては対話に、より重きを置いていきたい」と表明。会談でも「北朝鮮への支援は核問題の進捗(しんちょく)状況を見ながら検討する」と述べた。

 また、首相も会見で「追加的措置も圧力も、平和的解決、対話に導くための働きかけだ」とし、日韓の基本方針は一致していることを強調した。

 多国間協議について、首相が「北朝鮮の諸問題を包括的に解決するための対話のプロセスに日韓の参加が不可欠だ」と述べ、大統領も「全くその通りだ」と応じた。

 一方、日本人拉致問題については、日本側の事情に韓国側が配慮。盧大統領が、日本政府の「拉致問題解決などを通じた日朝国交正常化」という基本方針を支持する考えを表明した。

 小泉首相は会見で、今回の訪問が有事法制成立と重なったことなどを念頭に「韓国国内に懸念や批判があることを承知している。大統領の勇気ある決断に敬意を表する」と語った。さらに「専守防衛という日本の方針には何ら変わりはない」と強調。大統領はこれに理解を示したが、「日本の防衛政策の変化について、周辺国が警戒感を持っていることも否定できない現実だ」とも指摘した。

 自らを「韓国初の戦後世代大統領」とアピールする盧大統領の訪日を受け、両首脳は「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築する」などとした98年の日韓共同宣言を継承・発展させることで一致した。

 歴史問題については、大統領は会見で「今回は過去の歴史に触れずにおこう、と決めてきた。歴史問題は大統領の宣言などで終結するものではない」と述べ、今後の日本側の対応を注視する姿勢を示した。会談でも、首相の靖国神社参拝や麻生太郎・自民党政調会長の「創氏改名」発言には直接触れなかった。 (朝日新聞)

6月8日午後5:30、TBS(毎日)テレビの「百人百熱・盧武鉉大統領と対話」で、「日韓関係がよりよい方向に向かっているか」で98%の数字が出た。
盧韓国大統領 テレビ番組で市民100人と対話
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 来日中の盧武鉉(ノムヒョン)・韓国大統領は8日午後、TBSテレビの市民との対話番組に出演し、開口一番、「質問は優しくしてほしい」と笑いながら語りかけるなど、庶民派指導者のイメージを振りまいた。
 韓国政府当局者によると、この日のテレビ出演は、盧大統領の素顔を日本国民に知ってもらおうと企画された。対話には、人気グループ「SMAP」のメンバーで、流ちょうな韓国語で日韓交流に熱心に取り組む、草なぎ剛さんをはじめ、100人の市民が参加。大統領に日韓関係や北朝鮮問題について質問した。
 盧大統領は歴史問題では「過去を分析するのではなく、過去を話さなくてもいい関係ができるか、力量が問われている」と、未来志向の日韓関係の重要性を強調。また、2月の大統領就任式前の小泉純一郎首相の靖国神社参拝に関連して「(小泉首相の)就任式招待を取り消すべきか悩んだが、韓日間に感情的対立を生じさせるべきでないと判断した」と、当時の苦悩を告白した。北朝鮮の核問題については「あまり危険と考えるのは、それ自体が危険だ」と述べ、対話解決を最優先する持論を主張した。
 対話終了後、司会の筑紫哲也さんに印象を求められ、日本国民への感謝を表明する場面では、大統領自ら「うまくいかなかったので、もう一度」と収録のやり直しを求めるなど、この日の対話にかける意気込みの強さを示した。【毎日新聞:堀山明子】

6月9日午前、盧武鉉(ノムヒョン)大統領は日本の国会で、話をした。
盧大統領「真の和解と協力の時代を」 国会で演説
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衆院本会議場で演説する盧武鉉韓国大統領=9日午前、国会内で
 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は9日午前11時すぎから、衆院本会議場で演説し、「心の壁を取り壊し、真の和解と協力の時代を開いていこう」と未来志向の日韓関係を呼びかけた。北朝鮮の核問題を対話によって平和的に解決することを改めて強調。同時に、「防衛安保法制と平和憲法改正の議論も、疑惑と不安の目で見守っている」と述べ、過去に関する日本の国会議員らの発言や有事法制に対する韓国国内の懸念も指摘した。

 韓国大統領の国会演説は4人目で、98年の金大中大統領以来。

 盧大統領は「過去の歴史問題がいかに重要かをよく知っているが、本日はこの問題を超越した話をしたい」として、「未来志向の関係」を改めて強調した。そのうえで、「両国国民が歴史問題の影から完全に解き放たれて、自由に交流し助け合う時代が来ることを心から願う」として、「両国指導者が取り組む最優先の課題だ」と位置づけた。大統領は、日本の国会議員や各界指導者が「勇気ある指導力」を示すことを求め、「過去はあるがままに直視しなければならない。真実を語ることこそ真の勇気だ」と呼びかけた。そのうえで、日韓の共同目標として、「21世紀の北東アジア時代」を開くことを提案。「両国が意志を共にすれば、北東アジアでもこうした協力の未来を切り開くことは可能だ」とした。

 北朝鮮の核開発問題については、「平和と繁栄の北東アジア時代を開くためには、韓半島(朝鮮半島)に平和体制を定着させることだ」と指摘。北朝鮮の核保有を容認しないことを表明すると同時に、「対話を通じて信頼を積み上げていけば、平和的な問題解決の道が開かれる」と述べた。北朝鮮が事態を悪化させた場合の「追加的措置」や圧力については直接には触れなかった。

 また、拉致問題について「拉致問題で日本国民が受けた衝撃と苦痛をよく理解している」と述べた。

 盧大統領は4日間の日程を終え、9日午後帰国した。 (朝日新聞より)

■《天声人語》

 国会での盧武鉉(ノムヒョン)韓国大統領の演説を、テレビで見た。冒頭で「日本に近い釜山の育ち」を強調するのを聞いて、港町・釜山の、かつての日本人街で出会った金さんを思い出した。
 行政書士で、「今でも日本への手紙の代書を頼まれる」と言い、「貴下ますます…。…を賜り光栄の至りと存じ上げ候…」と、候文を流れるように話した。植民地時代には「金本といっていました」。
 金さんは、家にあげてくれて、半世紀余りの町の移り変わりを丁寧に語ってくれたが、最後まで、日本に対する恨みを口にしなかった。そのことが、かえって、重く長く心に残った。ソウル五輪直前の、88年の夏だった。
 大統領は先日、「ときどき過去をめぐる感情的な発言があり、順調な日韓交流の列車を予告なしに止めてしまうのは残念だが、列車は止めずに走らせ続けた方がいい」と述べた。その通りだと思う。国会では、未来の列車の旅に触れた。
 「日本の青少年が東京で列車に乗り、釜山とソウルを経て北京まで修学旅行に行くことは決して、遠い未来の夢ではないはずです」。しかし、ソウルのすぐ先の道筋にある国を思えば、はるかに遠いのでは、とも感じられる。
 大統領は日本のことわざの「子供は親の背中を見て育つ」を引いて、よりよい未来を子孫に、とも述べた。刺激されて開いてみた『韓国の故事ことわざ辞典』(角川書店)に、こんな言葉があった。「鉄も研(みが)けば針となる」。努力を続けていくと、どんな難しいことでも遂げられる。そんな願いのこもった列車なのかと思った。 (朝日新聞6/10)

■日韓首脳共同声明の全文


■韓国盧武鉉大統領が就任(2003/2/25)
■小泉首相就任後初めて韓国訪問(2001/10/15)
■南北首脳会談(2000/6/13)
■金大中大統領大阪訪問(1998/10/9)

■KBS読売TVウェークアップ!に登場(2002/11/15)
■多言語スペースKBSマダン(2002/12/30)
■私の目で見た中国延辺(2002/8/31〜9/4)
■私の目で見た平壌(2002/5/18〜25)
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